-EDの定義-
満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか
または維持できない状態が持続または再発すること
―近年 EDが注目されている理由―
EDと深い関わりがある主な疾患
LOH症候群
(男性更年期障害)
心血管に関わる疾患
(心筋梗塞・脳梗塞)
メタボリック症候群
(糖尿病・肥満と運動不足・高血圧)
男性不妊症
(不妊の原因が男性側にある)
その他にも、喫煙、テストステロン低下、慢性腎臓病と下部尿路症状、神経疾患、外傷および手術、心理的および精神疾患的要素、薬剤、睡眠時無呼吸症候群が、EDの原因(リスクファクター)として挙げられています。
LOH症候群の症状
身体症状 | 発汗、ほてり、睡眠障害、記憶・集中力の低下、⾁体的消耗感、筋⾁量と筋⼒低下(除脂肪体重の減少)、⾻塩量の低下、肥満、メタボリックシンドローム(内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさること)、フレイル・サルコペニア(身体機能・精神機能の低下) |
精神症状 | 気分変調、抑うつ、不安感、いらつき |
性機能症状 | 性欲の低下、ED(性機能障害) |
心血管に関わる疾患
生活習慣病におけるEDの発症危険率は、「糖尿病」「心血管に関わる疾患」「高血圧」の順番でEDを発症するリスクが高いことが報告されてます。EDのお悩みで泌尿器科を受診した52名(25~78歳)の患者さんを循環器内科で精査(心電図、負荷心電図など)したところ、23.1%(12人)の患者さんが「虚血性心疾患」又はハイリスクな状態だったことが報告されています。(出典元:⽇泌尿会誌91: 708-714, 2000)
陰茎動脈の障害が最も早く表れる
EDは循環器疾患、脳血管疾患の予兆
陰茎の動脈は心臓や頭部の動脈よりも細いため、動脈硬化が進むと早い段階から陰茎に症状が現れやすくなります。EDか、EDではないかということは「血管の健康状態」をはかる大事なサインです。EDでお悩みの方は、動脈硬化が進むと様々な疾患リスクが高まりますので、速やかに治療することをおすすめします。
動脈内径の比較
動脈硬化の進行イメージ
EDはからだじゅうが病気だらけになる予兆
メタボリック症候群とEDの関係
メタボリック症候群の症状がある患者さんと症状がない患者さんでEDの有病率を確認すると、メタボリック症候群の症状がある患者さんの方が症状がない患者さんに比べて、ED有病率が約2倍高いことが報告されています。(出典元:Diabetes Care 28: 1201, 2005)次は、EDの症状がある患者さんと症状がない患者さんでメタボリック症候群の有病率を確認すると、EDの症状がある患者さんの方が症状がない患者さんに比べて、メタボリック症候群の有病率が約2倍高いことが報告されています。(出典元:J Sex Med 2: 96, 2005)
男性不妊症の原因
造精機能障害 | 《1997年》 83.0% |
《2015年》 82.4% |
精路通過障害 | 13.7% | 03.9% |
性機能障害 | 03.3% | 13.5% |
ED症状がある日本人男性は
どれくらいいるのでしょうか?
約1,400万人が性機能障害(ED)
セックスレス:
1年に1回程度以下が45.7%
早漏で悩んでいる人は約910万人
一般社団法人日本性機能学会は、臨床研究促進委員会において、25 年ぶりに日本の20歳以上の男性を対象に性機能の実態に関する全国調査を実施されました。その結果、ED(勃起障害)の有病者数は約1,400万人にのぼることが明らかになりました。1998年の前回調査(1,130万人)から約270万人の増加となっています。この調査結果の論文は、The World Journal of MEN’s Healthに投稿され承認されています。
(出典:一般社団法人日本性機能学会プレスリリース)
若い世代の勃起機能・性欲も
低下傾向
インターネットAVによる影響か
若い世代で性機能(勃起機能・性欲)が低下傾向にあることがわかりました。海外ではインターネットAVと性機能の関係を研究され、複数の論文が発表されています。インターネットAVを見過ぎると、ED、性機能の低下、性欲の低下、オルガズム困難になるという研究結果が報告されています。
ED治療の種類と診療フローチャート
出典元:ED診療ガイドライン[第3版]